出世意欲に関するアンケート調査結果
■約半数が出世したいと回答(対象25~34歳)
25歳から34歳の働いている人486名を対象に、出世意欲に関するインターネット調査を実施致しました。その結果「出世したい」(17.7%)「どちらかと言えば出世したい」(31.9%)と回答、約半数が出世を希望していることがわかりました。
※「あなたの出世意欲について、最も近いものを一つ選択してください」という設問に対し、五択(出世したい/どちらかと言えば出世したい/どちらとも言えない/どちらかと言えば出世したくない/出世したくない)で回答。
出世意欲に関してはこれまでもいくつかの機関が調査結果を発表しています。しかしその設問・選択肢の数や内容はそれぞれ異なり、実施時期も異なり、継続的に取られているものもなく背景の推察が難しい面がありました。
そこで、背景をより深く探るために事前に立てた仮説に基づき、属性・各種設問と合わせてクロス分析を行いました。
アンケート調査の概要
対象:601名(一都三県(埼玉・千葉・神奈川)の25歳から34歳までの男女半数ずつ)の内、何らかの形で現在働いていると回答した486名
実施時期:2017/10/20~10/23
実施方法:インターネットアンケートパネル(株式会社マーケティングアプリケーションズ社)
以下も上記調査の結果になります。
■出世意欲が高いのはどんな人か?要因は?
背景・要因を探るために以下にあげる個人属性や会社属性に関する仮説について検証しました。
【個人属性】
(仮説)結婚して家庭ができると出世意欲が高まる?
既婚か未婚かにより、差異が生じるのではないかと考えて属性設問(既婚/未婚)で分けてみたところ既婚者の方が出世意欲が多少高かったものの、そこまで大きな差ではありませんでした。
(仮説)性別により出世意欲に差が生じるのではないか?
性別でみると、明らかに男性の方が女性よりも出世意欲は高くなりました。いわゆる総合職と一般事務職等での勤務の割合等も反映されている結果かと考えられます。
(仮説)最終学歴により、差異が生じるのではないか
最終学歴別にみたところ、大卒・大学院卒者が最も出世意欲が高いでした。
【会社属性】
(仮説)会社の規模により、差異が生じるのではないか
所属する会社の従業員規模別にみたところ、規模による一貫した傾向はみられませんでした。しかし100~300人未満の従業員規模の会社にいる人が最も出世意欲が高く、この規模感で何らかの理由があって高いのか、たまたま今回のサンプルでそうだったのかはわかりません。
(仮説)社内で同期との格差(仕事面で差)のつき具合により、差異が生じるのではないか
差のつき具合別にみたところ、同期との差が明確についている場合程、出世意欲が高い傾向があります。
(仮説)社内で同期との格差(賞与で差)のつき具合により、差異が生じるのではないか
差のつき具合別にみたところ、、同期との差が明確についている場合程、出世意欲が高い傾向があります。
結果、同期との格差(賞与面、仕事面)がついているか否かが最も影響を与えていると言えます(仕事面:ついている65.8%⇒ついていない36.0%と約30ポイントの差)。
25~34歳の社会人は、出世する/しないの現実感・感覚が乏しい人ほど、出世意欲が低く、ある程度会社内で賞与面や仕事面で同期との格差を実感しはじめると、出世意欲が強まっていくのではないかということが考えられます。要は同期の間で差がつくという現実感が乏しい内は悠長に構えているということかもしれません。
出世意欲が乏しく草食系の若手社員が多いと悩んでいる企業は、若い内から同期の間で差をつけることで、彼らの出世意欲を高めることができる可能性があります。その出世意欲が健全な仕事のやる気や頑張りにつながるのであれば、良い打ち手と考えられます。
人と比べて遅れたくはない、人並みではありたい意識が強い?
ここまでの結果から「周りで差がついていないのであれば出世したいとは思わないが、差がつきはじめると出世したい(=遅れたくない?)」という深層心理が浮かび上がってきます。
この点について下記の設問からさらに探ってみました。
「Qあなたが、将来40、50代になったときのポジション・位置付けについて」
選択肢(同期の中では上位でありたい/平均より上/平均程度/やや下でもいい/下でもいい)で回答してもらいました。
先ほどの、出世意欲の回答別に、それぞれの割合を見たのが以下の図表です。
この結果をみると、「出世したい」と回答した層は94.2%が同期の中では上位・平均より上でありたいと回答しています。これは当然の結果です。出世について「どちらとも言えない」と回答した層も36.8%は同期の中では上位・平均より上でありたいと回答しています。一方、「どちかと言えば出世したくない」と回答した層でも同期の中では平均程度以上でありたいという回答が66.2%、「出世したくない」層でも38.2%と約4割は平均程度ではありたいと回答しています。
40代、50代では約半数が管理職以上として活躍したい
さらに具体的な将来の話として自分が40代、50代になった時のポジション・位置付けについて聞いてみました。
「Qあなたが、将来40、50代になったときのポジション・位置付けについて」
選択肢は以下の四つ。
-経営幹部としてマネジメントする立場で働いていたい
-管理職として部下を管理する立場で働いていたい
-一般社員(非管理職)として働いていたい
-よくわからない・考えていない)
で回答してもらいました。
すると50.6%と約半数が40代、50代になったとき管理職以上についておりたいと考えていました(内約20%は経営幹部層につきたい)。出世したいと考えている割合とほぼ同じです。
一方で、現在の仕事ぶりはどうか?自分をどのようにみているか?
勤務先でのあなたの仕事ぶりへの周囲からの評価に関して聞いてみました。すると約8割が、平均以上には評価されていると回答しています。先ほどの調査結果から「人並み以上ではありたい」という意識が見えました。そして現状についても人並み以上と多くが認識しているのです。
高い自己評価は本物か?この先、危惧されることは何か?
昨今の25~34歳社会人は、出世意欲が半分しかないと思いきや、周囲で差がつき始めると意欲が高まる傾向がみられました。人並み以上ではありたいと周囲を意識し、現在も約8割の人が自分は人並み以上ではあると考えています。
また約半数が40代50代では管理職以上の立場で働いていたいと考えています。ですがこの層が40代へさしかかり昇進昇格の格差が拡大してはじめて現実を理解(=自分がやや高く評価されているのではないか、将来は管理職・幹部になりたいと考えていたが、それが困難な道であるということ)することになるのかもしれません。
さらに私たちは25から34歳よりも上の管理職世代(35から49歳)にも別途アンケートを実施しました。 その結果、この層に必要なことはまず現実を正しく知ることであるという結論に達しました。会社内でのキャリアの現実もそうですが、まずは自分のことを客観的に見つめ直し正しく自己を認識することが重要と考えます。 追加の調査結果及は以下のリンクからどうぞ。20代30代の現状を踏まえて推進する弊社の新規事業である「キャリアフラップ」(「自分を客観的に知る」ことから始める社会人向けビジネススクール)サイトにて紹介しています。
※以下リンクは、弊社が主催する20、30代向けのビジネススクール事業「キャリアフラップ」のサイトに飛びます。